CG基礎の基礎【どのソフトを使えばいいの?】
- 剛丸興業
- 2020年9月12日
- 読了時間: 8分

この記事にお勧めの方:
CGを始めたいけど何から始めればよいかわからない方
映像制作に興味があったり、グラフィックデザインをされている方であれば、
CGをやってみたい!という方もいるでしょう。
しかし、そんなCGやVFXに興味があるという方も何から始めればいいのかわからない…。
という問題に直撃して、初手挫折してしまう方も多くいると思います。
今回は、独学でCG制作をはじめ、仕事を受けている僕が、数あるCGソフトの特徴を紹介していきたいと思います。
皆さんの「やりたい!」に
合うソフトから始めてみて頂ければと思います。
3DCGソフトも色々あります。
まずは、3DCGソフトを特徴別に3つに大別してみたいと思います。
この3つの中から使いたいソフトの種類を選んでみてください。
細かなソフト選びは後半で、種類別に解説しています。
総合系ソフト
CGといっても、様々な段階を経て私達が映画やテレビゲームで見るような状態になります。
CGのカタチをつくるモデリング
モデリングしてできあがったカタチに質感を適用するマテリアルセッティング
色や模様を表現するテクスチャリング
上記で出来上がったCGに関節を追加して動かすリギング
エフェクトを追加するモーショングラフィックス
実際の写真や映像に、出来上がったCGを合成するコンポジット
など様々な工程を経て
私達が普段見かける「CG」の状態になります。
このような様々なCGの行程をそのソフト単体で全て、ないしほとんど、こなすことができるソフトが「総合系」です。
総合系ソフトの利点
1つのソフトで全てを完結できる
CGの使い方全般を1つのソフトから学べる
たくさんのソフトを使うより、費用を安く抑えることができる(場合がある)
総合系ソフトの弱点
学習量が多く、すべての機能を使いこなすまでに時間がかかる
専門分野を持つソフト(モデリング特化型、モーショングラフィックス特化型)に比べ個々の機能が洗練されていない場合がある。
モデリング特化型ソフト
モデリング特化型ソフトは、キャラクターや、建築物などの有形物をCGで制作するモデリング作業に特化したソフトです。
モデリング以外にも、シェーダーセッテイング、テクスチャリングも合わせて可能なソフトが多くあります。
モデリング特化型ソフトの利点
高度なモデリング機能で、様々な形状を思いのままに作成できる。
3Dプリントや原型製作など、製品の製作に活用できる。
覚えることが比較的少なく、すぐに成果を得やすい。
モデリング特化型ソフトの弱点
モデリング以外の機能が少なく、アニメーションを作成したい場合は単体では不向き
ペンタブレットなどPC以外に必要な機材が多い(マウスでも操作は可能)
モーショングラフィックス特化型ソフト
モーショングラフィックス特化型ソフトは、エフェクトやアニメーションなどのモーショングラフィックスに特化したソフトです。
映像編集ソフトのAfterEffectsと互換性があり、映像にCGを合成しやすいCinema 4Dなどが、有名です。
モーショングラフィックス特化型ソフトの利点
各ソフトで特化した独自のアニメーション機能やエフェクト機能が使用できる。
映像編集系ソフト、ゲームエンジンとの互換性が高い。
映像制作において、完成度の高い映像を製作できる。
モーショングラフィックス特化型ソフトの弱点
モーショングラフィックスは、PCへの負担が大きくハイスペックPCを購入する必要がある。
プログラミング言語を覚える必要がある(場合がある)
ここからは具体的に各ソフトの特徴をまとめていきます。

MAYA
CGソフトの王様



Mayaは、Autodesk社が開発するCGソフトです。
日本国内、世界の両方で見ても業界での採用率が最も高く、CGソフトの王道です。
モデリング、マテリアル、テクスチャリング、リギング、アニメーションなど、
Maya1つで完結することができます。
また、Mayaが採用しているレンダラーのArnoldは、私自身、業界で最高品質のレンダラ―だと思っていますし、業界での採用率もトップです。
価格は1年間のサブスクリプションで272,800円と決してお安くはない値段です。
ただ、無償体験版や学生向け無償版もありますので、気になる方はお試しでダウンロードしてみましょう。
3DS Max
建築系、アニメーション系、ゲーム系に強い!


3DS MAXは、Mayaと同じAutodesk社が開発する総合系ソフトです。
同じAutodesk社の製品ということで、Mayaとの違いが気になるところですね。
3DS MAXの強みは、CAD(設計用ソフト)との連携と強力なアニメーション機能です。
AutoCADという設計用ソフトとの連携が強力で、建築物の制作に力を発揮します。
また、キャラクターアニメーション用に、Animation Studioというプラグインがパッケージングされており、キャラクターに表情やポージングをつけることに便利です。
よって、建築に携わる職業の方や、キャラクターアニメーションを作成したい方に強くお勧めできるソフトです。
導入費用は、MAYAと同様に年間のサブスクリプションで272,800円と、お安くはありませんが、無償体験版、学生無料版もありますので一度試してみてはいかがでしょうか。
Blender
無料で使えて圧倒的実力派



Blenderは、Blender Foundationが、企業から寄付を募ることで、ユーザーが無料で使用できる総合系3DCGソフトです。
ユーザーは基本的に無料で使用ができます。
無料といっても、Microsoft等のバックアップを受けているBlenderの性能は強力で、他のCGソフトと遜色なく高性能です。
また、3DCGの機能にとどまらず、2Dアニメーションを製作する機能や、Python(プログラミング言語)を主体としてゲームエンジンまで搭載されており、ゲーム開発もできてしまうという驚きの性能です。
まずは、CGの基本を勉強したいという方、導入リスクが「PCのメモリが少し減ること」以外特にないBlenderはおすすめできます。

Z-brush
モデリングの新常識。モデリング特化型CGソフト



Z-brushは、アニメーションの製作や、動画との合成などを行うことはできませんが
モデリングに特化したCGソフトであり、「スカルプティング」と呼ばれるオブジェクトを彫刻するようにモデリングする手法を浸透させました。
モデリングは、ポリゴンと呼べれる面を貼って形を作る作業なのですが、初心者には思い通りの造形をすることが難しい作業でした。
ただ、Z-brushでは、スカルプティングを軸に、様々なモデリングツールが用意されており、初心者の方でも思い通りの造形ができます。
モデリングに特化したソフトだけに、毛穴や、皺の1本1本まで、リアルなCG製作が可能です。
価格は、Pixalogicからの直接購入で、94,780円(2020年8月 現在)。他代理店からの購入もできますが、2万円ほど価格が高くなりますので、直販直売での購入がおすすめ!
また、廉価版のZ-brush core、無料版のZ-brush miniもありますので、試してみてはいかがでしょうか。

Houdini
CGの新時代!VFXで強みを発揮
Houdiniは、最近人気が出てきたソフトですが、本場ハリウッドをはじめ、急速にCG業界でシェアを伸ばしています。
モーショングラフィックに特化してはいますが、CGソフトとしての機能はひと通り搭載しています。
ノードと呼ばれる機能で、エフェクトを追加していき、複雑なモーショングラフィックを制作することができます。
また、パーティクル機能(爆発、飛沫、流体、煙などを表現する機能)が高度化されており、より微細な粒子の表現とより写実的な描写が可能です。
下のプロモーションビデオをご覧いただければわかりますが、モーショングラフィックに関しては、業界随一です。
ただし、Houdiniで高度な制作をするためには、プログラミングの知識が必要になります。
ですから、プログラミングスキルが皆無の方には、少しハードルが高いことが難点です。
ただ、逆手に取ればHScript、VEX、Pythonという3つのプログラミング言語への知識がある方には、最もスタートしやすいCGソフトと言えます。
価格も、利用者の状況に応じて柔軟な対応をしており
学生や非商用利用の場合は無料から。
個人のクリエイターの場合は1年間のサブスクリプションで28,557円からと手ごろな価格で入手することができます。
CUNEMA 4D
モーショングラフィックスの制作に最適!



MAXON社が開発する3DCGソフトである、Cinema4Dは、今CG業界で最も人気のあるソフトといってもよいでしょう。
基本的な総合系ソフトの性能を搭載しつつ、モーショングラフィックスに特化しており、
特にミュージックビデオや映画へのCG製作で力を発揮します。
Cinema4Dは、「モーショングラフィックに特化した総合型ソフト」という立ち位置ですから、モデリング初めCGに必要な機能は揃っています。
今まで映像編集でAdobe After EffectsやPremier proしか使ったことがないけど、CGにも触れてみたいという方は、Adobe系ソフトと連携が取れるCinema4Dがおすすめです。
価格は、1年間のサブスクリプションで92000円から。搭載機能の差異により複数バージョンが存在します。無料体験版もありますので、気になった方は上記リンクからダウンロードしてみてください。
まとめ
3Dソフトの特徴をまとめてみましたが、如何だったでしょうか。
それぞれに特色があり、私自身まとめていて楽しかったです。
私は主に、Z-brush、Blenderを主力として使用しています。
多くのCGデザイナーは、それぞれのソフトの弱点を補い合うように、複数のソフトを使用します。モデリングならZ-brush、アニメーションならHoudiniといった具合ですね。
ただ、導入費用も決して安くないので、まずは気になったソフト1つから始めてみることをお勧めします。
1つのソフトを試してみて、面白ければ続ければよいですし、今後様々なソフトを活用していけばよいと思います。
BlenderやZ-brushを中心に使い方や簡単なテクニックをHPでは紹介していますので、上達したいという方は是非ご覧ください。
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